外国人投資家が日本の不動産に投資するメリットとは?デメリットや投資の注意点も解説
ここ最近の数年間、アジアの富裕層を中心に、外国人投資家の日本の不動産への投資が目立っています。特に東京では、2021年の東京オリンピックの前頃から国際的な注目が集まることを見越して、外国人によるマンションなどの不動産への投資が多く見られました。
それ以外の日本の地方でも、日本人だけではなく、外国人によるさまざまな形での不動産投資に対する興味が増しています。
外国人投資家にとって日本の不動産に投資するということには、どのような目的、メリットデメリットなどがあるのでしょうか?今回は外国人投資家にとっての東京を中心とする日本の不動産への投資について解説していきます。
外国の不動産と日本の不動産の違い
外国の不動産と日本の不動産との目立った違いは、土地自体の価格が外国に比べて高いということです。
日本はそもそも狭い国土の、さらに狭い平野部分に、人口1億2,000万人のうちの多くの人が住んでいることから、住む土地の価格が外国に比べて高いという特徴があります。
このことから、同じ一軒家を購入する場合でも、外国では、その価格のうち建物の価格の割合が高いことが多いのに対して、日本では土地の価格の割合が高いという特徴があります。
また、不動産に対する税金の制度も違っています。外国によっては例えば、固定資産税や贈与税、相続税が課税されない国もありますが、日本においては、固定資産税や贈与税、相続税が課税されます。
さらに、不動産を取得する際に、日本においては不動産取得税も課税されます。これらの税金が課税されるということについても、東京を中心とする日本の不動産へ投資を考えている外国人投資家は注意をする必要があります。
外国人投資家が日本の不動産に投資するメリット
ここ数年、外国人投資家による東京をはじめとする日本の不動産への投資が注目されています。外国人投資家が東京をはじめとする日本の不動産に投資をする理由は、当然、外国の不動産やそのほかの投資対象に投資することと比較して、メリットがあるからです。
では、外国人投資家が東京を中心とする日本の不動産へ投資するメリットとしては、どのようなものが考えられるのでしょうか?次のようなことが日本の不動産に投資するメリットだと考えられています。
- カントリーリスクが低い
- 外国人が購入するにあたっての障害が少ない
- 外国に比べて割安である
それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
カントリーリスクが低い
カントリーリスクとは、投資をする対象の国や地域における、政治、経済、社会情勢などの変化によって起こる、投資の被害の可能性がどの程度あるかということを言います。
政治的なリスクというのは、革命や政権交代による政策、規制、制度の大幅な変更が起こるリスクを言います。また、経済的なリスクは、急激なインフレ、通貨の急落、国債の債務不履行の発生の可能性のリスクのことを言い、社会情勢のリスクはテロ、内部紛争、経済制裁を受けるリスクなどを言います。
この点において、日本は世界の中でもカントリーリスクが極めて低い国であるということができます。
OECD(経済協力開発機構)が発表しているカントリーリスク表でも、日本はアジア・中近東地域でシンガポールと並んで、最も安全なカテゴリーであるAランクに位置付けられています。よって、外国人投資家から見ると、日本は投資対象として非常に安全な国であるというメリットがあります。
外国人が購入するにあたっての障害が少ない
日本では、外国人であっても、日本人が購入するのとほぼ同じ条件でマンションなどの不動産を購入することができます。例えば、外国人であるということを理由として、不動産購入にあたっての規制がありません。
また、日本は、不動産を取得、所有することによる税金も、日本人であっても外国人であっても同じです。外国の場合、国によっては自国民以外の土地の購入を認めていない国や、新築物件の不動産のみ認めている国などもあります。
このような制限がなくても、外国人が不動産を購入し所有する場合には、外国人にのみ追加の税金を課している国もあります。
このことからすると、外国人ということでの制限や追加の課税がない日本のマンションなどの不動産に投資をするということは、外国人投資家から見ると大きなメリットであると考えられます。
外国に比べて割安である
日本のマンションなどの不動産は、外国人から見た時には割安であるということも、外国人投資家が日本の不動産に投資を考える際のメリットと言えます。
ここ数年は、日本の不動産の価格も上昇傾向に変わってきましたが、それでもまだ外国の不動産と比較すると割安とみられることもあります。
世界の主要都市との比較でも、例えば、一般財団法人日本不動産研究所の「国際不動産価格比較指数」の比較で、東京は主要14都市との比較でマンション価格は、香港、ロンドン、台北、上海などよりも低く、8位になっています。
一方で賃料水準は、上海、台北より高くなっていて、物件価格の割には家賃を高く設定できるということが言えます。
すなわち、外国人投資家の目線から考えると、東京をはじめとする日本のマンションなどの不動産への投資は、世界の主要都市の中では比較的割安であるわりに、高い家賃収入を得られるということで、利回りが高いというメリットがあると言えます。
外国人投資家が日本の不動産に投資するデメリット
外国人投資家による東京を中心とする日本の不動産への投資には、これまで見てきたメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在することは確かです。
どのような投資にも、リスクがつきものであると考えると、外国人投資家による日本の不動産への投資のデメリットについても、十分理解をしておく必要があります。
ここからは、外国人投資家による東京をはじめとする日本のマンションなどの不動産へ投資することのデメリットを見ていきます。日本の不動産への投資のデメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
- 立地のリスクがある
- 国が人口減少、急速に少子高齢化している
- 為替のリスクがある
では、これらのデメリットについて、詳しく見ていきます。
立地のリスクがある
日本という国の立地特有のリスクが考えられます。それは、外国人が不動産投資をする対象としての日本という国の特徴として、世界でも珍しい地震が多発する地域であるというリスクです。日本の不動産への投資を考えるにあたって、地震、津波などが発生するリスクは、世界の他の地域よりもきわめて高いといえます。
これらに対応するために、投資対象となるマンションなどの不動産について、地震発生リスクが高いことを理解するとともに、建物が新耐震基準になっているのかなどの確認、必要に応じて地震保険を付保することも検討する必要があります。
国が人口減少、急速に少子高齢化している
日本は現在、少子高齢化と人口減少が世界で最も急速に進んでいる国の一つであるということも、外国人が日本の不動産投資を行う際には、デメリットとして考えておく必要があります。
少子高齢化が急速に進んでいる国であるということは、例えば、日本における今後の不動産のニーズが、高齢者の一人暮らし向けなどのワンルームマンションなどが主流になり、そのような不動産への需要に偏っていく可能性が高いと考えられます。
また、人口減少が急速に進んでいることによって、東京などの都市はそれほどではなくても、地方の都市のマンションなどの不動産への需要への影響は、少なからず起こる可能性があるということも考えておかなければなりません。
このように、日本の人口減少と急速に進んでいる少子高齢化は、不動産投資を行う外国人にとってデメリットとして頭に入れておく必要があります。
為替のリスクがある
日本の通貨である円の為替リスクがあるということも、外国人の日本への不動産投資を考える人たちにとってはデメリットとなる可能性はあります。不動産投資に限らず、自国通貨と投資する対象の国の通貨が違う場合、為替変動のリスクは常に付きまとうものです。逆に購入と売却のタイミングによっては、為替の変動が収益を生み、メリットになる可能性もあります。
ただ、このような為替変動によって、投資対象である不動産の価値にそれなりのインパクトがある変化が起こる可能性があるということ自体は、日本の不動産に投資をしようとする外国人にとっては不安材料という意味でデメリットと考えられます。
また、日本での不動産を購入後に、為替相場が円安に進んでいくと、ドル換算で考えた場合の資産としては、明らかに資産価値が下がっていくことになってしまいます。
外国人投資家が日本の不動産を探す方法
次に、外国人の投資家が投資対象となる東京を中心とする日本の不動産を見つける具体的な方法について、見ていきたいと思います。
ここでは、インターネットで探す、不動産会社で探す、弁護士などに紹介してもらうという3つの方法について説明します。
インターネットで探す
外国人投資家が東京をはじめとする日本の不動産を探す方法として、まず思いつくのがインターネットを通じて探す方法です。最近は、外国人の投資家による日本の不動産への投資需要が多くなっていることから、これらに対応する日本のサイトも多くなってきました。
例えば、検索エンジンで”Japan(日本)”、“real estate(不動産)”と検索すると、日本のマンションなどの不動産の検索サイトが表示されます。
日本の不動産検索サイトでも、英語、日本語、中国語に対応するなど、外国人投資家による投資があるということを前提としたページ構成となっていて、外国人投資家が外国にいるままでも投資対象となる、東京を中心とする日本の不動産の検索が可能になっています。
不動産会社で探す
外国人投資家による東京とはじめとする日本の不動産投資に対応する物件を取り扱う不動産会社は、年々増えている状況です。
不動産会社は、不動産売買に関する情報は豊富に持っており、そのノウハウも持っているということは間違いありません。また、前述のとおり、外国人であっても基本的に日本の不動産を取得することに障害がなく、日本人を相手に不動産を売買するのと同じであるということも、不動産会社で探すメリットとなるでしょう。
しかし、英語での対応など、外国人をお客様として相手にすること自体に慣れているのか?外国人投資家にとって必要な説明を適切にできるのかどうかなど、その対応については、注意が必要です。
また、外国に居住していて日本の不動産に投資をし、その物件の管理をそのままその不動産会社に依頼する場合には、その不動産会社の管理体制がずさんでないかどうかは非常に大切な選考ポイントになります。
空き室続きにすることなく、適切に賃借人を探してくれるような不動産会社に管理を依頼して、投資の効果を最大限受けられるようにすることが重要です。
弁護士などに紹介してもらう
外国人投資家が東京を中心とする日本の不動産に投資を行う場合、日本の法律に基づいて手続きを行う必要があります。手続き自体は日本人が不動産を購入するのと変わらないとはいえ、外国人からすると、手続きが外国と違っていて理解できないことも考えられます。
これらの法律的な手続きの内容を適切に理解して、東京をはじめとする日本の不動産への投資を行いたい場合には、法律の専門家である弁護士などを通じて不動産売買ができる不動産会社などを探し、物件を見つけるという方法も有効です。
また、裁判所で公示される競売物件は、比較的一般的に取引されている不動産物件よりも安く購入できるという点でメリットがあります。
しかし、これらの物件の情報の入手や具体的手続きは、インターネットで探したり、不動産会社を通じて行ったりすることが難しい場合があります。このような物件の購入も検討したい外国人投資家は、弁護士を通じて物件を探すという方法を取ることが最も有効だと考えられます。
さらに、東京などにある日本の不動産に外国人が投資をし、その外国人が外国に居住している場合には、納税代理人を任命する必要があります。
日本の不動産に投資をし、その不動産を賃貸して収入を得ている場合には、外国人投資家が海外に居住している場合でも、日本国内での所得税が発生します。また、外国人投資家が日本に不動産を所有している場合には、外国人投資家が外国に居住していても固定資産税を納付する義務があります。
このような場合には、日本の不動産に投資をした外国人は、固定資産税の納税に関する一切の事項を本人に代わり行わせるために、不動産の所在地の地方公共団体の条例で定める地域内に住所等を有する納税管理人を選任する必要があります。
このような法律や納税が絡む、いろいろな手続きが発生するので、弁護士などを通じて投資対象となる物件を探し、その後の一連の手続きを弁護士にお願いするという方法も、日本の法律的な事情があまりよくわからない外国人投資家にとっては、とても安心です。
外国人投資家が日本の不動産に投資するまでの流れ
これまで見てきた通り、外国人であっても、東京をはじめとする日本の不動産を購入することは可能です。しかも、永住権やビザがなくても、日本人と同様に不動産を入手することができます。
一方で、不動産取得税や固定資産税などの税金が課されるのも日本人と同様です。外国人投資家が日本の不動産を購入する手続きは基本的に日本人と同じですが、外国人だけに必要な手続きもあります。
ここからは、外国人が日本の不動産に投資する手順について見ていきたいと思います。具体的な流れとしては、次のようになります。
- 投資対象の不動産を探し、不動産会社とコンタクトをとる
- 日本を訪問し、投資対象物件の下見を行う
- 買付証明書を提出する
- 売買契約を結ぶ
- 購入資金を準備する
- 代金の決済をし、物件の引き渡しを受ける
- 不動産管理会社と管理委託契約を結ぶ
それぞれ、各項目について見ていきたいと思います。
投資対象の不動産を探し、不動産会社や弁護士などとコンタクトをとる
外国に居住する外国人が東京を中心とする日本の不動産に投資をする場合、まず、投資対象の物件を探すことになります。探す方法については、前述したように、インターネットで探す、不動産会社で探す、弁護士などに紹介をしてもらうなどの方法があります。
これらの方法によって、投資対象になる東京などの日本の不動産に目星をつけた後、不動産売買の仲介をしてもらう場合には、不動産会社とコンタクトを取ります。
日本で不動産売買の仲介をするためには、事業所ごとに従事者5人に対し1人の割合で「宅地建物取引士」がいる「不動産仲介業者」に不動産売買の仲介をしてもらう必要があります。
このため、日本で投資対象となる不動産の購入を仲介してもらって購入を検討する外国人投資家は、不動産会社へもコンタクトをとる必要があります。
また、外国人投資家が、投資対象として東京をはじめとする日本の不動産を購入する場合には、日本人が不動産を取得する場合と同様、契約書の作成や登記の手続きなど、日本の法律関係にかかわる手続きをする必要があります。
これらの手続きを円滑に進めるためには、弁護士にもアポイントメントを取って、不動産の購入の手続き全般を見てもらう方が安心です。
具体的には、例えば、外国に居住する外国人が日本の不動産を購入した場合、日本人が購入するのと同様、登記の名義変更の届出をする必要があります。この際に、必要な書類として、日本に居住する日本人であれば、住民票と印鑑証明の提出が求められます。
しかし、外国に居住する外国人が不動産を購入した場合、日本の住民票や印鑑証明がないのが普通です。
このような場合には、住民票の代わりに、外国人が居住している国の官公署が発行する住民登録証明書またはその国の公証人の認証のある住所に関する宣誓供述書、印鑑証明の代わりに外国人投資家のサインに対して、当該外国人の国籍の外国在日大使館でサイン証明書を発行してもらうという方法を取ることができます。
このように不動産登記の名義を変更するだけでも、外国人投資家にとっては、かなり煩雑な法律的手続きをする必要があるため、不動産売買手続きを円滑に進めるためには、あらかじめ日本の法律の専門家である弁護士にアポイントメントを取って、売買手続き全体のチェックをしてもらうのがよいと考えられます。
日本を訪問し、投資対象物件の下見を行う
外国に居住している外国人が東京をはじめとする日本のマンションなどの不動産に投資を行う場合であっても、対象の物件を購入する前に日本を訪問し、対象物件の下見をする方がよいと思われます。
理由は、客観的なデータである広さや階数、構造などの情報だけではわからないことがあり、実際に周囲の状況を確認して、外国人投資家自身で投資の対象となる不動産の価値をより正確に理解することができるからです。
確認をした方がよい具体的な項目としては、最寄りの駅からの距離、周囲にコンビニエンスストアやスーパー、郵便局や学校などの施設があるかどうか、周囲に断続的な騒音や臭気がないかどうかなどが考えられます。
日本のマンションなどの不動産への投資を行う外国人自身が、購入を考える投資対象の不動産の状況を正確に把握し、その価値を実感として理解しておくために、来日して直接物件を見ておくことをお勧めします。
買付証明書を提出する
外国人投資家が日本の不動産投資のために、東京をはじめとする日本の不動産を購入する場合、購入する物件が決定すれば、仲介業者である不動産会社または物件の売主に対して、買付証明書を提出する必要があります。買付証明書は、物件の売主または不動産仲介業者に対して、物件を購入する意思があることを表明する書類です。
買付証明書に書くべき項目は、「購入希望価格」「手付金」「住宅ローンの額(住宅ローンを利用する場合のみ)」「契約希望日」「引き渡し希望日」「そのほかの希望条件」などです。
売買契約を結ぶ
外国人投資家が東京を中心とする日本の不動産への投資のために、物件を特定し、売主または不動産会社に対して買付証明書を提出した後、価格などの契約内容について売主と合意に至った場合には、外国人投資家と売主の間で売買契約を結ぶことになります。
この時、外国人投資家は、印鑑と印鑑証明(またはその代わりとなる書類)を提出する必要があります。また、売買契約書を作成するためには、その売買金額に応じて印紙税がかかります。
さらに、一般的な不動産売買の慣習として、手付金を支払う必要があります。一般的に日本の不動産を購入する際の手付金の額は、物件購入価格の10~20%です。
契約書を交わし手付金を支払ったのちに、外国人投資家側の事情で契約を破棄した場合などには、この手付金は返還されませんので、買主側の外国人投資家としては、注意が必要です。
購入資金を準備する
外国人投資家が東京などの日本の不動産投資のために、日本の不動産物件を購入するにあたって、売主と合意をし、契約を締結した後は、その合意した購入代金のための資金の準備をする必要があります。
資金の準備方法として一般的なものは、「海外送金」と「ローン」です。それぞれについて説明していきます。
まず「海外送金」は、東京をはじめとする日本の不動産物件を購入した外国人投資家が、海外の銀行などの金融機関に持っている預金を日本の金融機関の預金口座に送金するという方法です。
一般的に、日本の金融機関に口座を持っている不動産の売主にスムーズに購入代金を支払うためには、あらかじめ日本の金融機関の口座に送金しておくことが望ましいです。
しかし、海外の投資家は、日本の金融機関に預金口座を持っていることは少ないと考えられ、このような場合には、外国人投資家が仲介業務を依頼した不動産会社の預り金口座などに送金することが多いようです。
このように多額の資金を一時的にでも預かってもらうことが一般的であることから、仲介などを依頼する不動産会社は信頼をできる会社を選定することが重要です。
また、別の方法としては、金融機関でローンを組んで資金調達をするという方法も考えられます。外国人の投資家の場合、日本の金融機関からローンで資金を調達することは、かなり難しいと言われています。
その理由は、多くの日本の金融機関がローンの条件として日本の永住権を持っていることを挙げているからです。
しかし、一部の日本の銀行では、永住権を持たない外国人投資家でも一定の条件をクリアする場合には、住宅ローンや投資不動産ローンを組むことが可能なようですので、そのような金融機関からのローンも考えられます。
日本の永住権を持たない外国人投資家であっても、当然、母国の金融機関のローンを組むことは基本的に可能です。この場合、母国の金融機関からローンで資金を調達して、日本へ「海外送金」して購入した不動産の資金を支払うことになります。
代金の決済をし、物件の引き渡しを受ける
売買契約が成立し外国人投資家の側のお金の準備ができたら、売主に購入代金を支払い、物件の引き渡しを受けます。
そして、第三者にも対抗ができるように、外国人投資家が購入した不動産が外国人のものになったということを登記に記してもらう必要があります。この登記のことを移転登記と言います。
さらに、外為法に定められていることから、外国人投資家が日本の土地を取得したことを、不動産の取得後20日以内に財務省に報告する必要があります。
不動産管理会社と管理委託契約を結ぶ
日本の不動産を購入した外国人投資家が、その不動産の管理を日本の不動産会社に委託する場合には、管理委託契約を結ぶことになります。
そのほか、購入した外国人投資家が日本に居住しない場合には、納税管理者を定める必要があり、これについても不動産管理会社にお願いをすることが多いようです。
外国人投資家が日本の不動産投資で必要な費用
ここからは、外国人投資家が、東京をはじめとする日本の不動産に投資をする場合に必要となる費用について見ていきます。すでにこれまでの説明でも出てきていますが、
- 不動産取得時
- 不動産所有期間
- 不動産売却時
に分けて整理をしておきましょう。
不動産取得時に必要な費用
まず、外国人投資家が東京を中心とする日本の不動産投資のために、日本の不動産を購入する場合、その取得時に必要な費用としては、売買代金のほか次のものがあげられます。
不動産仲介会社へ支払う「仲介手数料」、売買契約書作成のための「印紙税」、不動産を売買する際に不動産取得者に課税される「不動産取得税」、売買で購入した不動産の登記の名義を変更する際に課税される「免許登録税」、取得した不動産の登記変更の手続きを行ってもらう「司法書士などへの報酬」、購入した不動産に付保する場合の火災保険や地震保険の「保険料」で、合わせて不動産の購入価格の約8%前後になることが通常です。
不動産所有期間に必要な費用
次に、外国人投資家が日本の不動産を所有している期間に必要となる費用としては、次のものが挙げられます。
所有している不動産の所在する市町村に納税する「固定資産税・都市計画税」、所有している不動産を賃貸して収益を得ているような場合には、その収益に対する「所得税」、外国人投資家が所有している不動産の管理を不動産会社などの管理会社に委託している場合には、管理会社に支払う「管理費・修繕費」、所有している不動産を賃貸して収益を得ている場合には、賃貸管理会社に対する「賃貸管理委託費用」がかかります。
不動産売却時に必要な費用
最後に外国人投資家が、東京をはじめとする日本の不動産に投資をして、その所有した不動産を売却するときに必要な費用としては、次のものが挙げられます。
まず、所有している不動産の売買契約書の作成のための「印紙税」、所有している不動産を売却することによって利益を得た場合にはその利益に対して課税される「譲渡所得税」、最後に外国人投資家が所有している不動産売却にあたって仲介した不動産会社に支払う「仲介手数料」がかかります。
外国人投資家が日本の不動産に投資する時の注意点
最後に外国人投資家が東京をはじめとする日本の不動産に投資する際の注意点を挙げておきます。これまでの記述ですでに説明してきたところですが、特に注意するべき事項は次の点です。
- 不動産の登記識別情報通知の受け取りを行う
- 税金を納める必要がある
- 所有している不動産の状況をこまめにチェックする
不動産の登記識別情報通知の受け取りを行う
最初は、必ず、不動産の登記識別情報通知の受け取りを行うということです。登記識別情報通知は、以前は権利証(登記済証)と呼ばれていた書類のことであり、不動産についての登記上の権利者であることを証明する書類です。
日本においては、例えば二重売買が行われた場合には、登記上の権利者が正式な所有者と認定されることが法律で定められていることから、この登記識別情報通知を必ず受け取っておくように注意が必要です。
実際上は、外国投資家自身が受け取るか、委託を受けて日本での管理を行う不動産会社などに保管してもらっておくかどうかを決めておく必要があります。
この登記識別情報通知は所有している不動産を最終的に売却する際にも必要となるので、必ず受け取りましょう。
税金を納める必要がある
次に、外国人投資家が日本の不動産を所有している間に発生する税金を納める必要があるということです。
前述しているように、外国人投資家が日本の不動産を所有している間は、その所有する不動産に対して発生する固定資産税や都市計画税、さらに所有する不動産を賃貸して収入を得ている場合には、所得税を納税する必要があります。
日本の不動産を購入した外国人投資家は、これらの税金を納税する義務があるということを理解する必要があります。
そして、これらの納税行為を海外に居住している外国人投資家に代わって行うのが納税管理人です。外国人投資家は、日本に居住する知り合いなど納税管理人を頼める人がいない場合には、不動産管理会社や弁護士などの納税管理人を立てる必要があります。
所有している不動産の状況をこまめにチェックする
最後に外国人投資家が東京などの日本の不動産に投資をし、その管理を不動産会社などに委託している場合には、自己が所有している不動産の管理状況の報告を適切に受けるようにすることが大切です。
特に賃貸しているような場合には、その使用状況は適切か?修繕などが発生していないか?など、管理を委託している不動産の価値が大きく棄損されているようなことが起こっていないかどうかの確認を都度行うことが重要です。
まとめ
今回は、外国人投資家が東京をはじめとする日本の不動産への投資について解説を行いました。日本は、カントリーリスクが少なく、家賃収入などの利回りが比較的良いということで外国人投資家の注目が集まっています。
一方で、今回の記事で説明したような、投資対象として理解しておくべき点、遂行するべき義務などもありますので、これらを十分把握したうえで、外国人投資家は日本の不動産への投資の実施を検討することが望ましいと言えます。