不動産評価額の種類を全て徹底解説!それぞれの調べ方や目的に合わせた使用方法を紹介
「不動産評価額」という言葉の意味をご存知でしょうか。
不動産を所有している、または購入や売却を検討している方であっても、詳細に理解しきれていない方もいるかもしれません。
しかし、固定資産税や相続税、贈与税など、さまざまな場面でその金額が左右される重要な要素です。
状況や場面に応じて正確な不動産評価額を把握することで、税金の負担を最小限に抑え、不動産取引をスムーズに進めることが可能になります。
そこで今回は、不動産評価額の種類や調べ方、そしてそれぞれの使用方法について詳しく解説します。
これからの不動産取引や税金対策に役立つ情報が満載ですので、ぜひ最後までお読みください!
不動産評価額とは?
不動産に関連する税金の種類として、固定資産税、贈与税、不動産取引税、相続税などさまざま存在しています。
そして、不動産は数ある資産の中でも非常に資産価値が高いものが多く、それに連動して税金などの取引額も増大する傾向にあります。
では、これらの税金の価格はどのようにして決めることができるのでしょうか。
額の大きい不動産関連の税金の計算をする際に基準として利用されるのが、「不動産評価額」です。
一般的に不動産評価額は、建物に対する不動産評価額と土地に対する不動産評価額のそれぞれが存在します。
不動産の売却を検討している場合など、支払うべき税金が決まってくるため、適切に不動産評価額を確定させることが非常に重要になります。
不動産評価額は5つの種類が存在する
不動産評価額は5種類の評価額が存在しています。それが、固定資産税評価額、公示地価、標準地価、路線価、実勢価格の5つです。
これらは、1つの不動産に対してどれか1種類ではなく、5つのそれぞれの評価額が決定されます。
保有していた不動産を売却する際や、不動産を相続する場合など、不動産関連の税金の支払いが発生する場合に不動産評価額が必要になると説明しましたが、それぞれの目的に応じて把握すべき評価額の種類が異なります。
どの種類の不動産評価額を調べるべきかを把握しておくことで、不必要に多くの税金を支払ってしまうといったことを避けられます。
ここからは、それぞれの不動産評価額の調べ方について詳しくご紹介します。
それぞれの不動産評価額の調べ方
では複数ある不動産評価額はそれぞれどのように取得できるのでしょうか。
ここではそれぞれの不動産評価額の算出方法とその評価額の取得方法について詳しく解説します。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、その名の通り固定資産税を算出する際に参考とされる評価額の一種です。
この固定資産税評価額は、自身が保有する不動産については、固定資産税の納税通知書および固定資産評価証明により直接確認することができます。
納税通知書は1月1日時点で不動産を保有するものに対して同年の4~5月ごろに送付されます。固定資産評価証明書は、各市区町村により発行されますので、どちらかで確認しましょう。
もしも、確認したい不動産を自身が保有していない場合には、不動産保有者に直接尋ねるか、仲介の不動産会社に確認を依頼してください。
また、不動産保有者からの委任状を受け取っている場合に限り、市区町村役場において固定資産評価証明を発行してもらえます。
確認したい不動産の保有者を把握した後、それぞれの場合に沿った対応を取りましょう。
公示地価
公示地価とは、国土交通省が地価公示法に従って毎年発表している1月1日時点の標準値1平方メートル当たりの価格を指しています。
公示地価は、土地の取引価格としての客観的指標といえるでしょう。一方で、販売価格や市場での価格を反映しているとまではいえないため、解釈上の注意が必要です。
公示地価は、固定資産税評価、公共用地の取得、相続税評価、金融機関の担保評価、企業保有の土地の時価評価の基準などに利用されることがあります。
では、公示地価はどのようにして調べることができるのでしょうか?公示地価の具体的な調査方法についてご説明します。
実は、国土交通省の土地総合情報システムにアクセスすることで、誰でも任意の土地の公示地価を取得することができます。
以下のステップで取得が可能です。
土地総合情報システムのウェブサイトにアクセスし、「地価公示・都道府県地価調査」を選択する
不動産の住所を選択もしくは入力する
上部に国土交通省地価公示・都道府県地価調査が出てきたら、対象を「地価公示のみ」、調査年を「最新調査年のみ」を選択する
用途区分は不動産が存在しているエリアがどの区分に該当しているかを選択する
検索結果表示では複数の地価公示が表示され、不動産に最も近い住所の結果を選択する、もしくは地図で確認して選択する
表示される地図上の詳細表示に記載された価格(円/㎡)がその土地における最新の公示地価が取得できる
基準地価
基準地価とは、公示地価と同様に1平方メートル当たりの土地の価格を指しています。
公示地価はその年の1月1日時点での都市計画区域内の基準値を国土交通省によって公表されていました。一方で基準地価は、毎年7月1日時点での地方自治体が定めた基準値(都市計画区域内外は問わない)となります。
ひとことでまとめると、公表される対象地域と公表時期が異なるということになります。
では、標準地価はどのようにして調べることができるのでしょうか?標準地価の具体的な調査方法についてご説明します。
標準地価も公示地価と同様に、国土交通省の土地総合情報システムにアクセスして取得可能です。
以下のステップで取得が可能です。
土地総合情報システムのウェブサイトにアクセスし、「地価公示・都道府県地価調査」を選択する
不動産の住所を選択もしくは入力する
確認したい不動産を検索し、不動産に面する道路に記載された価格が路線価を取得できる
上部のタブを利用して固定資産税路線価と相続税路線価を切り替えできる
【注意!】相続税路線価は、路線価(千円)/平米の表示のため、敷地面積を乗じて相続税路線価額を取得できる
路線価
路線価とは、道路に接している標準的な宅地1平方メートル当たりの価格を指しており、国税庁によって公表されている価格です。
路線価はさらに相続税路線価と固定資産税路線価に分類されます。それぞれご紹介します。
相続税路線価とは、相続税や贈与税などを算出する際に利用される路線価の一種であり、国税庁によって公表されています。1月1日時点での調査結果が同年の7月に公表されます。
明確に決まっているわけではありませんが、相続税路線価は公示地価のおよそ8割といわれています。
固定資産税路線価とは、固定資産税評価額や鑑定評価を決定する際に利用される路線価の一種であり、基本的に市町村単位で公表されています。1月1日時点での調査結果が同年の4月に公表されます。こちらも明確に決まっているわけではありませんが、固定資産税路線価は公示地価のおよそ7割といわれています。
では、路線価はどのようにして調べることができるのでしょうか?路線価の具体的な調査方法についてご説明します。
路線価は、一般社団法人資産評価システム研究センターによって提供されている、全国地価マップで2種類とも確認可能です。
以下のステップで取得が可能です。
全国地価マップのウェブサイトにアクセスし、「固定資産税路線価等」または「相続税路線価等」を選択する
不動産の住所を選択もしくは入力する
上部に国土交通省地価公示・都道府県地価調査が出てきたら、対象を「都道府県地価調査のみ」、調査年を「最新調査年のみ」を選択する
これ以降は公示地価と同様に進めていき、地図上の詳細表示で確認できる価格が、地方自治体によって公表されている基準地価となります。
実勢価格
実勢価格とは、不動産が実際に取引された際の市場価格を指しています。
土地は取引されると国土交通省に対して、取引データが集約される仕組みとなっています。
第三者から不動産が特定されるような詳細情報は公表されませんが、実勢価格は国土交通省の土地総合情報システムにおいて確認可能です。
土地総合情報システムにおいて確認できる実勢価格は、その不動産固有の要素(形状や物件の状態など)、取引された時期、売却に至った経緯などが反映された結果です。
そのため、直近に取引された近隣の不動産の実勢価格と同等の価格がつくとはいえません。
実勢価格は実際の市場価格ではありますが、参考程度にとどめておくべき価格だと認識しておきましょう。
実勢価格も公示地価や標準地価と同様に、国土交通省の土地総合情報システムにアクセスして取得可能です。
以下のステップで取得が可能です。
土地総合情報システムのウェブサイトにアクセスし、「不動産取引価格情報検索」を選択する
左側のタブにあるプルダウンから、直近の時期と物件の種類を選択する
表示されたテーブル形式の複数の取引価格情報から、自分の不動産と条件が近いものを探し、不動産評価額を取得する
取得した不動産評価額と併せて不動産会社に査定を依頼する
状況や目的に応じて適切な不動産評価額は異なる
ここまでで5種類の不動産評価額についてご紹介してきました。
これらは算出方法や公表元が異なり、目的によって使い分けが必要です。最後に、どのような場面でそれぞれの不動産評価額が必要となるのかをまとめていきます。
不動産相続
不動産の保有者が亡くなった場合、遺言を含む相続によって、不動産の保有権を特定の人物に引き継ぎます。
不動産の相続の際にも不動産評価額を参考にすることとなります。
相続税の金額を把握する場合と相続した不動産の市場価値を把握する場合とで参考となる評価額で異なるため、目的ごとに使い分けが必要です。
一般的に、相続税の金額を知りたい場合には、不動産の土地に対しては相続税路線価、不動産の建物に対しては固定資産税評価額となります。しかし、もしも相続税路線価が設定されていない土地の場合には固定資産税評価額を参考にするようにしてください。
一方で、相続した不動産の市場価値を把握する場合には、不動産会社に直接査定してもらうことが一般的となります。不動産を売却したい場合などで会っても、不動産の市場価値を把握しておくことは大切です。
不動産会社による査定は無料の場合がほとんどですので、一度査定してもらうとよいでしょう。
不動産売却
不動産の売却を考えている場合には、実勢価格を参考にすることが多いようです。
しかし、先ほども述べた通り、実勢価格は不動産固有の状態や状況によって異なるため、参考程度にとどめておくようにしましょう。
さらに詳細に知りたい場合や直近の取引価格を知りたい場合には、実勢価格ではなく、不動産会社に査定してもらいましょう。より詳細な価格を知ることができるでしょう。
また、不動産会社による査定は無料の場合がほとんどのため、気軽に依頼できる点が大きなメリットでしょう。
財産分与
離婚により夫婦の一方は共有していた財産の分与を請求することが可能です。
不動産も含まれており、それらを公平に分配することや生活保障額を決める際に不動産評価額を参考にします。
財産分与の場合には、一般的に実勢価格が基準として利用されます。
しかし、当事者間で合意が取れない場合には不動産鑑定評価額(不動産鑑定士によって土地や建物、所有権以外の経済価値を鑑定した評価額)が用いられ決定される傾向にあるようです。
贈与税計算
不動産を贈与税の計算の際には、相続税の計算と基本的には同じとなります。
不動産の土地を贈与する場合には路線価、不動産の建物を贈与する場合には固定資産税評価額を用いることが一般的です。
裁判や調停
これまでで財産分与や相続の際に参考にすべき不動産評価額についてご紹介しました。
しかしそれらは、財産分与や相続で話し合いが順調に進んだ場合の話です。実際に、財産分与や相続の話し合いで争いが発生してしまうことも少なくなく、その場合は話が変わってきます。
財産分与や相続で揉めてしまい話が進まない場合には、不動産鑑定士による不動産鑑定評価を参考にしてください。
不動産鑑定評価は法的効力が発生する評価額の一種であり、信頼のおける客観的な評価指標として用いることができます。
しかしそのぶん、多額の鑑定費用が発生することを把握しておきましょう。不動産の種類によって、細かくは異なりますが、一般的な戸建ての場合は土地と建物を合わせて30~50万円程度必要となります。
意見の食い違いなどにより話し合いが進まない場合には、費用は掛かりますが不動産鑑定士に依頼して解決することを推奨します。
固定資産税や不動産取得税
固定資産税や不動産取得税の計算を行いたい場合には、一般的に固定資産税評価額を基準とします。
固定資産税評価額によって算出できる税金がある一方で、算出できない税金もあります。
課税標準があれば算出できますが、課税標準の算出も非常に複雑です。納税通知書や評価証明書を手元に準備して確認するようにしましょう。
まとめ
不動産評価額は、固定資産税や相続税などの税金計算、売却や贈与時の適正価格の判断、財産分与や裁判での公平な分配など、さまざまな場面で用いられていました。
各評価額には異なる目的や算出基準があり、状況に応じて適切な評価額を選ぶことが不可欠です。
今回の内容を参考にして、それぞれの評価額の特徴と調べ方を理解し、賢明な不動産取引や税金対策に活かしてください!正確な評価額の把握が、経済的な負担を軽減し、より良い決断につながるでしょう!